音感を鍛えると音楽がもっと豊かになる
こんにちは!サヤカです
トレーニングの前に「音感」を知ろう
「音感」と一口に言っても意味はさまざま。
この曖昧な部分が、トレーニングを妨げています
例えば、「体幹ダイエット」とか聞いたことありませんか?
「体幹」の意味もどこをどう鍛えたらいいのかも、言葉だけでは、よくわからないですよね。
「音感トレーニング」も同じく、どんな「能力」をどう「鍛える」のか?を知ることでトレーニング効果は高まります
音感を鍛えるためのトレーニング本や講座などは、たくさんありますね。
どんな方法を試そうが、最終的に、あなたが音感を身についたことを実感して、演奏や音楽鑑賞に良い影響が出ること、が大切です。
目新しい情報に振り回されないためにも、「音感」の正体を知っておきましょう。
音程を聞き取れること=耳が良い?
「音感」の話に入る前に、ここでお話する「音感」という言葉について触れておきましょう。
「音感」と聞いて、多くの人がイメージするのが、「音程を聞き取る能力」でしょう。
今回この記事でも、音程を聞き取る能力を音感と呼んでいきます。
ですが、音楽的に考えれば、音程を聞き取れることだけが「耳が良いこと」ではありません。
音楽には、音程以外にも、音色や強弱、音の長さなど色んな要素があり、それらを総合的に楽しめる耳、聞き分けることができる耳が「耳が良いこと」だと私は考えています。
耳が良いという集合の中に、「音程を聞き取る」という項目が1つある、というイメージです。
音程を聞き取る能力を育てることで、他の音楽的な要素にも、意識が向きやすくなる傾向があるので、ここをとっかかりに、良い耳を育てていきましょう。
どうちがう?絶対音感と相対音感
レッスンで、「相対音感」という言葉を知っていますか?とお聞きしていますが、まだまだ知らない方が多い!という事実に気が付きました。
音の高さを当てる能力として、「相対音感」と【絶対音感】の大きく2タイプに分かれます。
「相対音感」の前に、【絶対音感】の話をしておきましょう。
絶対音感とは?
【絶対音感】という言葉を聞いたことがある、という方は結構多いです。
【絶対音感】は、聞こえた音をピタリと当てられる音感です。
これは特殊能力ではなく、幼少期の成長の過程を利用した「記憶」により定着するものです
【絶対音感】は、ドレミファソラシドを使う、音楽のルール上でしか発揮されない能力です。
なぜ幼少期でないと身につかないのか?は別記事で解説しています。
絶対音感を持つ友人曰く、「耳鳴りの音」も音名で判断できるらしいです(笑)
絶対音感を持つ人の中でも、どのような訓練をして身につけたかによって、一部の音程しかわからない人から、細かいヘルツ単位で正確な人もいて、その能力のレベルは様々のようです。
また、全部の音が音名で、聞こえてしまうなんて味気ない!という絶対音感を持たない人の意見もありますが、意識しなくても音名で聞こえてしまう人と、スイッチを切り替えるように、音名を聞かないように出来る人もいるといいます。
一概に絶対音感と言っても、同じ能力を持っているとは限らないということです。
ちなみに、私には絶対音感がありません。
もちろんあったら、便利だろうなとは思いますが、無くて不自由ではありません。
それは、誰でも鍛えることができる「相対音感」を鍛えているからです。
相対音感とは?
「相対音感」というのは、例えば、「ド」という音を鳴らした後に「ミ」の音程が歌える、といった具合に、1つ基準になる音を聞けば、他の音が取れるようになる音感です。
簡単に言うと、「聞き比べて」分かる音感ですね(^^)
【絶対音感】は、こうした聞き比べの要らない音感です。
【絶対音感】は、幼少期にしか獲得できませんが、「相対音感」は大人から鍛えることが可能です。
誰でも、正しい訓練を詰めば、精度はどんどん上がっていきます。
私自身も、また生徒さんもトレーニングで「相対音感」を磨いています。
「正しい訓練」というところが、キモなのです!
絶対音感がないから相対音感を持っている、というわけではありません。
ただ音楽を聞き流しているだけで音楽を聴く耳が育つのであれば、大人は誰でも音感が良くなければ、オカシイですよね(笑)
絶対音感と相対音感の正体を知り、頭の中を相対音感の聴き方に、チューニングしていくことが大切です。
相対音感の仕組み
この音感を鍛える上で、「何と」聞き比べるのか?が重要なトレーニングポイントです
聞き比べる対象は2つ。
1:メロディの音程
=自分の音
2:ハーモニー(和音)
=周りの音
比較対象1:メロディの前後で比べる
「メロディの音程」で比較して聞くとき、2つの情報を頼りに聞いています。
1つは、流れているメロディのキーを把握し、「階名」で把握すること
2つめは、1つ目の音から2つ目の音に、どれくらいジャンプするのか「音程」を把握すること
要するに、自分が鳴らす音の前後で、聞き比べることができる能力です
耳コピをするための音感がほしいのであれば、この「聞き比べ」の精度を上げることが、一番重要です
この能力に関して、詳しくは、無料テキスト指板攻略トレーニングBOOKで触れています
「階名」で把握する
普段何気なくメロディを聞いているとき、私たちは、その音程が何か?までは意識せず、聞いています。
そこで、メロディを比較する「ものさし」を体の中につくっていきます
点と点の距離を測るように、音と音の高さの違いを測る「ものさし」を自分の中に作っていくイメージです。
「階名」で把握する、というと難しそうですが、これは「メジャー・スケール」というものさしをつくるということです。
「スケール」は日本語で「ものさし」の意味を持ちますから、そのまんまですね(笑)
音が12種類しかないことは、ご存知ですか?
ギターだと12フレットで、チューニングする開放弦と同じ音程に戻りますね。
もちろん、ドレミでは現せない、もっと中途半端な音もありますが、「西洋音楽」のルールでは、12種類の音にまとめてしまったのです。
メジャー・スケールというのは、全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音という間隔で並べた「音階」のことを言います。
「全音」は2フレット分、「半音」は1フレット分の音の距離を表す言葉です。
2弦1フレットスタートで弾いてみてください。
「ドレミファソラシド」が弾けます。
「ド」から始まるメジャー・スケールなので、「Cメジャー・スケール」と呼びます。
※英語では「ド=C」です。
始まる音は「ミ」から弾けば、「Eメジャー・スケール」だし、「ソ」から弾けば、「Gメジャー・スケール」です。
「メジャー・スケール」を聞くと、「調性」というものが生まれます。
「調性」と聞くと、これまた難しそうな感じがしますが(日本語の音楽用語はなんだかお堅く感じますよね(笑))、要するに、「Cメジャー・スケール」であれば、「ド」で落ち着いた感じがし、「Eメジャー・スケール」であれば、「ミ」で落ち着いた感じがする、といった具合に、どの音に落ち着き(中心)を感じるかが変わるのです。
1つめのものさしは、この特徴を活かして、身につけていきます。
例えば「レ」の音の高さ(何ヘルツの音なのか)を、必死に記憶するのではなく、Cメジャー・スケールの中の2番めの音の雰囲気を感じること。
Dメジャー・スケールの中では、1番めの音で落ち着きを感じること。
スケールとして聞いたときの「役割」で聞く、という方法で「音程」を当てることができるようになります。
実際に鳴っている音ではなく、役割としてドレミを歌う方法を「移動ド唱法」といいます。
キーが何であれ、ドレミファソラシドで歌う、ということです。
このように基準の音をメジャー・スケールの1番目の音として、他の音程を聞き当てるのが、「階名」で把握する、という方法です。
メロディの前後の「音程」を把握する
次に、1つ目の音から2つ目の音にどれくらいジャンプするのか「音程」を把握するという方法です。
「音程=高さの違い」は、大人になっても記憶することが可能です
記憶するためには、音の記憶と音の距離を指す言葉を覚える必要があります。
ここでは、音の距離を表す言葉について、知っておきましょう。
ドからレまでの距離を「長2度」という風に「度数」で表します。
同様に、レからミまでの距離も「長2度」です。
ものさしの「0」を合わせるところを変えるような感覚ですね。
家からスーパーまで2km、スーパーから学校まで2kmそんな感じでしょうか(笑)
※ただし、ドからミまでの距離は2+2=4ではないので注意です!
音は、目に見えない「振動」ですが、その音の高さの違い(音程)を測る、ものさしの目盛りが「度数」です。
この「度数」表記は、慣れるまで、難しく感じるかもしれません。
音楽用語は、日本語、ドイツ語、英語の3通りが日本で使われています(笑)
この話はまた後でするとして、「度数」の表記について、学びたい方はコチラの記事をチェックしてみてくださいね
「音程」と「音名」、「階名」という言葉の使い方
また、「音程」という言葉ですが、紛らわしいので、しっかり押さえておいてください。
これは、本来2つの音の「高さの違い」を指す言葉です。
「音名(おんめい)」と表すときは、実際に鳴っている「音の高さ」を指します。
さっきの距離のように表すのであれば、「地名」のような感覚ですね。家は、◯◯町、スーパーは××町、というような感じです。
少し前に出てきた「階名」は、「移動ド」で歌ったときのドレミで、実際に鳴っている音名と違います。
大人から音感が鍛えられるか、ちょっと疑問だ…という方へ
「音感」という言葉を使うと、どうしても、「音楽的な特別能力」「天性の才能」というようなニュアンスを感じてしまう方もいると思います。
でも、ちょっと思い出してみてください。
音感がなくても、「メロディを記憶すること」ってできますよね。
私は、これが「相対音感」と大きく関わっていると考えています。
「相対音感」は、「絶対音感」とちょっとタイプの違う、これもまた「記憶」なのです。
子供の頃に歌った、「チューリップ」や「かえるの歌」、もしくはハマっている大好きな歌、たとえ「音痴だ!」と思っていても、脳内で再生することはできますよね。
つまり、メロディが「どのくらい音が高くなったり、低くなったり動くのか」、というのは、人は記憶できること、と言えることになります。
言い換えれば、先程説明した「音程」を覚える能力の原石は、誰でも持っているということなのです。
「ド→ソ」が歌えるか?と聞かれて、「いや、わからない」という人でも、じゃあ、きらきら星を歌えるか?と言われれば、すぐに「ドドソソララソ〜」と歌うことができます。
いわゆる「音感がない」という状態は、「どのくらい音が高くなるか」音の動きだけは覚えていても、それが「何度」動いたのか?つまり、音程の名前がわからない、という状況で、例えるなら、「すごく顔は知ってるんだけど、名前のわからない人」という感じなのです。
なので、「これが《完全5度》の感じ」というように、音程に「名前」をつけてあげれば、いずれ覚えることができます。
※完全5度というのは、ド→ソの音程のことです。
同様に、「調性」は、自然と感じているものです。
ドレミファソラシドと聞けば、「ド」で落ち着くよね、と言われれば、「言われればそうね」という感じだと思います。
比較対象2:ハーモニーから把握する
「ハーモニー(和音)」で聞き比べるということは、バンドで演奏される和音に対して、自分が演奏する音が、「コードに対して、何度の音か?」を聞くということです
つまり「周りの音」に対して、自分の音を把握する能力です
コレを鍛えると、美しい響きやコードに対してメロディがどんなサウンドを作っているか?などが聞き取れるようになります。
ただし、周りに左右される音感ですから、周りがミスをするという可能性も考える必要があります。
また、伴奏がない、ということもありますね。
左右されない音感を鍛えることは、「自分の中の音」を聞き比べる音感と両方が必要だということです。
途中で調性が変わる??
この周りの音から把握するタイプの音感が必要な理由は、1曲の途中で「調性が変わる」ということが起こるからです。
つまり、キーCだった曲が、途中からキーDになるということが起きるということです。
ガッツリ変わってしまうことを「転調」、ちょっとだけ、数小節変わるくらいならば、「部分転調」というように呼びます。
ジャズのアドリブの説明で、1コードに付き、1つのスケールを書いてあるものがありますが、言い換えればそれは、「コードの変化に合わせて、メロディを弾く」ということ。
ハーモニータイプの音感は、こうしたアプローチでアドリブをとるために、磨いておく必要があるのです。
「音感トレーニング」はやり方がいっぱい
私がいろんな方の音感トレーニング法を試し、またその方法論を学んできた上で音感については、このように体系化しています。
「音感トレーニング」は、名前を変えたり、更に、細分化して難しく見せている印象があります。
あなたは目新しいものに、左右されない「判断軸」はありますか?
今すぐ音感を手に入れたい!という方はぜひ、レッスンをご活用くださいね!